知的生命体との同居「たったひとつの冴えたやり方」と「地球の長い午後」
「たったひとつの冴えたやり方」は有名なので知っている方は多いでしょう。
故郷を飛び出した少女コーティが脳に寄生する生物シロベーンと出会い、友情を深めるお話です。
繁殖期を迎えたシロベーンは、自分が大切な友人をで殺してしまうことを悟るわけですが、その際にコーティが考え出した「たったひとつの冴えたやり方」が何とも切なく、読後に胸にぽっかり穴が空いたような気分にさせられます。
実はもうひとつ、脳寄生生物との共生を描くSFがあるのです。
それが「地球の長い午後」です。
地球の自転が止まり、半分が植物の異常発達した永遠の昼、半分が夜となり、人類は小型化、半植物化、知能退化を起こしているという設定。
我が強くて群れからはぐれた少年グレンが、高い知能を持つ「アミガサダケ」という寄生生物によって知恵を得て、生き延びる物語です。
こちらは共生しつつも友情はなく、いわば「知識階級」であるアミガサダケによる支配になります。
それだけに、アミガサタケから得た知識を自分のものにして、あえて決別を選ぶグレンの行動が意味のあるものとなります。
同じ脳寄生生物を扱いながら、全く別方向の幕引きをする物語です。